2020年04月02日

   新型コロナウイルス感染症に対する耳鼻咽喉科の対応

 現在、耳鼻咽喉科診療所において新型コロナ感染の検査ができる体制にはなっていません。新型コロナ陽性を疑われる患者さんは、軽症の場合は発症から3日以内は自宅療養、4日以上は「帰国者・接触者相談センター」に連絡して下さい。渡航歴や接触歴のある方は直ちに「帰国者・接触者相談センター」へ連絡して下さい。高齢者や基礎疾患のある方及び妊婦は2日でセンターへ相談しましょう。宮城県内でもクラスターが発生している現状から、危険な状態が迫っていると考えましょう。それでも咽頭痛や軽度の呼吸器症状で受診される場合は、診察前に症状を申し出て頂いて、待ち時間を自家用車内で待機してもらうか、来院時間を別途指示することもあります。
 中国、イタリアでの経験から耳鼻咽喉科診療は極めてリスクが高く医師の死亡が最も多いのが耳鼻咽喉科医です。感染拡大を耳鼻咽喉科診療所の現場で起こしてはならないので、皆さまのご協力が最重要となっています。
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2020年02月23日

スギ花粉症 on the TV

 今年は新型肺炎出現の影響で、例年の花粉症とは異なる展開を迎えています。それは、花粉から身を守るマスクが手に入りにくいという状況です。メディアから、この問題に対する耳鼻咽喉科医としての回答を求められ、取材に応じています。2/25(火)の「NHK てれまさむねPM6:10〜7:00」でインタビューにお答えするスタイルでオンエアされる予定です。今年の花粉の動向と個人で出来る対策などを解説します。そして、2/28(金)には「仙台放送 Live News it!PM6:15〜6:50」で花粉症の新しい治療薬についても触れた内容でオンエアの予定です。専門でないことまでに言及せざる得なかった内容もあり心苦しいのですが、参考までにということでよろしくお願いします。
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2020年02月02日

車の運転とスギ花粉症

 間もなく本格的なスギ花粉症のシーズンを迎えます。車を運転中にクシャミを我慢できなくなったとします。そこでクシャミをして一秒目をつぶった間に50km走行の車は13.8mも進んでしまいます。これで何も起こらないと良いのですが、何か起きてしまっては大変です。

 先日、薬学共用試験センターの木津純子先生の運転と薬剤のお話を聞く機会がありました。スギ花粉症に対して抗ヒスタミン薬で症状を抑えるのですが、この薬剤には眠気を起こす副作用があります。職業ドライバーを対象にした2010年の調査によれば、抗ヒスタミン薬で92.9%のドライバーが眠気や集中力・判断力の低下を自覚しています。現在国内で使用されている第2世代抗ヒスタミン薬は13種類あります。インターネット調査では、各種類において軽いレベルの眠気がほとんどですが、耐え難い眠気が出現する頻度が1〜7%あることが報告されています。抗ヒスタミン薬は大変歴史の古い薬剤で、元々は中枢抑制作用を利用した抗精神病薬・抗不安薬として使用されてきました。これが第1世代に分類され、作用機序としては血液脳関門というバリアを超えて脳内に鎮静作用をもたらすのです。この脳内への移行を抑えてアレルギー症状にだけ効くように改良されたのが第2世代であり、花粉症治療薬として最も多く使われています。

 抗ヒスタミン薬の自動車運転に及ぼす影響を直接的に実験したオランダの研究があります。方法は100kmの走行区間を90~95kmで走行させて、基準となる中心ラインから逸脱する頻度を伴走車が測定するものです。その結果、第1世代抗ヒスタミン薬は5種類全て「運転に影響あり」の判定でしたが、第2世代の5種類は全て「運転への影響は少ない」と結論づけられています。眠気と共に注目される副作用はインペアード・パフォーマンスです。これは知らず知らず集中力や作業効率が低下するもので、眠気と異なり自覚がない点が恐いところです。

 このような事情から、現在では薬剤添付文書に自動車運転に対して禁止、注意、記載なしの三段階の分類がなされ、抗ヒスタミン薬に限らず、全ての薬剤で注意喚起が義務付けられています。運転禁止薬剤には、第1世代抗ヒスタミン薬ばかりではなくパーキンソン病治療薬、片頭痛治療薬、禁煙補助薬なども入っています。運転注意の薬剤は数多くありますが、問題なのは注意薬剤同士の併用により眠気が強く出てしまうことです。従って、処方には相互作用によるリスクを下げる特別の注意が必要です。また「記載なし」の薬剤でも薬剤感受性には個人差があるのでフリーパスとはならないです。では、どんな抗ヒスタミン薬が理想なのでしょうか。それは1)即効性と持続性があり、2)眠気を起こさず、作業効率に影響せず、3)長期連用が可能であり、4)1日1〜2回の服用で良い、とまとめられています。ここに患者さんの治療歴を加味してベストの薬剤選択を行うことになります。

 スギ花粉症の初期療法はとても効率の良い治療法です。最近の研究では、アレルゲンが体内に取り込まれる前に抗ヒスタミン薬を服薬すると、鼻粘膜の腺細胞、血管、神経上に存在するヒスタミンの結合相手であるH1受容体の発現を抑えることが分かってきました。つまり、H1受容体に対する拮抗薬としてだけではなく、逆作動薬として細胞のヒスタミン感受性を低下させ、鼻水、鼻づまり、くしゃみの症状を抑え込んでいるのです。今年は花粉飛散量が少ないと予想されていますが、治療を怠るとシーズン末期に重症化することも考えられるので、いつも通り本格飛散前からの服用がおすすめです。
posted by ナカバヤシジビカ at 22:00| Comment(0) | 新着情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする