2017年01月23日

花粉症と口腔アレルギー症候群

 口腔アレルギー症候群(OAS)は果物や野菜など特定の食物を食べてから口腔・咽頭粘膜の過敏症状を示すもので、アナフィラキシーショックをきたすこともあります。症状は食直後に唇・舌・のどのかゆみや刺激感、粘膜の腫脹などが出現しますが時間とともに自然軽快することが多く、そのままになっている例も多いでしょう。原因食物は1.メロン、2.パイナップル、3.キウイフルーツ、4.モモ、5.リンゴの順に多く、有病率は人口の10%程度と推定され男女比は1:2で女性に多く、20~50歳代に多いと報告されています。
 ここで花粉症との関連についてみていきましょう。花粉症発症には、それぞれの花粉抗原に対する決まった抗体(IgE抗体)があり、アレルギーを起こす細胞(肥満細胞)の表面に固着していて(感作)、花粉中の抗原となる物質(アレルゲン)が結合すると細胞内よりヒスタミンなどが放出され、症状を引き起こします。例えばスギ花粉ではCry j 1、シラカバ花粉ではBet v 1、ブタクサ花粉ではAmb a 1と呼ばれる物質です。一方、植物では外界から受ける様々なストレス(病原体の攻撃、紫外線、大気汚染物質など)から身を守る防御反応として感染特異的タンパク質(PRタンパク)を発現しています。このPRタンパクが特に花粉アレルゲンと類似の構造している場合、花粉症と同じようにアレルギー反応を起こし(交差反応)症状が出るのです。
 ところでOASでは花粉症の激しい症状とは異なり、局所の軽い症状で済んでいるのはなぜでしょう?それは、PRタンパクが口の中で唾液中の酵素で分解されたり、体温で温められて変性したりして抗原性が低下し、肥満細胞から放出されるヒスタミン量が減少するからと説明されます。しかし例外もあります。豆乳は大量の大豆からなり熱に耐える性質があるうえに、液状で一気に飲み込むため症状が強く出やすく、十分な注意が必要です。
 では、どんな花粉症の人が何に気を付ければよいのでしょう?シラカバ花粉のBet v 1はバラ科果物(リンゴ、モモ、サクランボなど)、マメ科(大豆、ナッツなど)のPRタンパクと類似しています。シラカバの植生は北海道や本州山岳地ですが、同じカバノキ科のハンノキは国内全域に生息し花粉抗原も類似しているので全国に多くの患者さんがいます。そのためBet v 1の関連したPRタンパクはOASを起こしやすいのです。このように交差反応に着目すると、イネ科花粉・ブタクサ花粉ではウリ科果物(メロン、スイカなど)、ヨモギ花粉ではセリ科野菜(セロリ、パセリ)、またキウイは花粉症の種類によらず原因になりやすいので注意すべきでしょう。スギ花粉ではトマトによるOASが報告されていますが頻度は多くないです。なお、ラテックスアレルギーでのOASの原因食物としてはアボガド、クリ、バナナ、キウイが多いです。
 実際に症状を感じた場合は食べるのを止め様子を見る、軽快しなければ病院で原因食物の検査(特異的IgE検査、プリックテスト)を受け、抗ヒスタミン薬を処方してもらう、ということになります。またリンゴの場合、少量から順次増量して摂取すると食べられようになりますが、残念ながら効果に持続性はなくリンゴ投与をやめると元に戻るそうです。このようにOASは食べる治療もある程ですから、極度に恐れる必要はありませんが知らずにいて良いとは言えません。

posted by ナカバヤシジビカ at 15:26| Comment(0) | 新着情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする