2019年06月30日

声がおかしい

 音声障害には声がれ(嗄声)をはじめ、高い声が出ない、大きな声が出ない、声が震えるなど様々な症状があります。声が出るしくみですが、まず喉は口から食道へ続く嚥下のルートであり、同時に鼻・口から気管、肺へ続く呼吸のルートでもあり、両者交差している部分が喉頭です。喉頭の最も大切な機能はこの二つのルートの分離維持、つまり飲食物が気管内に誤嚥しないように交通整理をすることです。人類は進化の過程で石器を作り食物を食べやすく加工できるようになりました。同時に集団化による仲間とのコミュニケーションのために言語を操るようになると、それまでと比べて歯と顎が縮小し、喉頭が下がりその上部の咽頭に長い空間ができました。喉頭の中には一対のヒダがあり、このヒダが声帯です。軽く閉じた声帯の間を空気が通るときに声帯が振動し、音が出ます。この時の声帯の閉じ方、緊張の違いにより音の強さ、高さを変え、長くなった咽頭、舌、唇、歯、鼻を使って共鳴させることで声となります。このように声帯は喉頭に付属した構造物で、まだ完成されたものではないので音声障害を生じやすいという考え方もあります。
 さて、日常診療でよく見られる疾患を紹介しましょう。まず、声の多用や乱用による声帯への刺激により、声帯粘膜の血液循環が不良となり出血やむくみ(浮腫)が形成される隆起性病変を声帯ポリープと呼びます。薬物療法、ネブライザー療法、発生指導などで改善しない場合はラリンゴマイクロ手術が必要となります。
喉頭ポリープ.jpg

 同じく声の多用による刺激で、振幅が最も大きくなる声帯中央部に上皮の肥厚と粘膜浮腫を起こしてできる突起を声帯結節と呼びます。こちらも喉に力を入れない滑らかな話し方などの音声治療、薬物療法などを行い、改善傾向のない症例では切除を行います。声の多用は職業(保育士、店員、歌手)、趣味(カラオケ、長唄)などの他、子供でも絶えずおしゃべりをする子は声帯結節になりやすく、別名学童結節とも呼ばれています。なお、喫煙は増悪因子ですので喫煙者には禁煙を勧めています。
声帯結節2.jpg

 
 こればかりではなく、様々な原因で音声障害が起こり、その治療法も進歩し特に手術療法は近年に急速に発展してきました。次回はその続きを話したいと思います。
posted by ナカバヤシジビカ at 18:38| Comment(0) | 新着情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする