2019年05月01日

令和を迎えて

令和が始まりました。そこで、私なりに身近な元号生まれの方々の印象を一言ずつコメントしたいと思います。
「明治は遠くなりにけり」の明治は完全に歴史の中の一時代という認識になりました。私が研修医の頃は明治生まれの患者さんが80代でちらほらいらっしゃいました。当時は長寿のシンボルで歴史の生き証人でした。
大正生まれの方は各界の重鎮として存在していたというイメージがあります。この世代の方は真っ先に戦争に狩り出され、生命・財産への影響を最も強く受けたと思います。
昭和初期生まれは子供時代が戦後の混乱期にぶつかり、時代に翻弄された体験をもつため、独自のカラーをもつ方が多いと思います。リアリスト、ロマンチスト、仕事人間など自分のスタイルをお持ちでした。
昭和中期生まれは青少年時代に高度経済成長期をむかえ、右肩上がりの社会の勢いに乗り成長しました。その分ジェネレーションギャップも激しく、外との摩擦や内なる矛盾を抱えつつ荒波を乗り越えてきました。いまや中年となり、各界で重要な役割を担っています。
昭和後期生まれは日本の社会が安定し、成熟期へ移行したので子供時代は平穏だったかと思います。しかしその平穏はバブル崩壊で破られます。まず就職難の洗礼を受け、その後は経済停滞で生じた閉塞社会へ適応するしかありませんでした。それ故に、価値観が多様化して個人主義が最も進んだ世代かもしれません。
平成初期生まれはまだ20代の若者です。ピラミッド社会を見上げるように裾野を歩いていますが、これから頭角を表していくことでしょう。令和の時代を形作るエネルギープラントと見なされます。これ以降の世代は未分化なので、おそらく令和より先の時代で開花することでしょう。
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2019年01月13日

カゼと抗菌薬

近年、厚労省の指導で抗菌薬(抗生物質)の使用に釘を刺されています。使用を最小限に抑え耐性菌出現を回避し、開発に多大な時間と労力のかかる抗菌薬がこの先長持ちするようにという世界的な戦略です。もっともなことではあります。カゼはウイルス感染なので、抗菌薬を使用するのは不適切であるという意識が臨床医に定着してきました。しかし、ウイルスでダメージを受けた上気道粘膜は細菌感染を合併している場合もあり、症状や経過から必要と判断したら、抗菌薬の使用をためらうのは良くないでしょう。耳鼻咽喉科医としては急性副鼻腔炎、急性咽頭炎、扁桃周囲炎、急性喉頭炎、急性中耳炎などの発症には日常診療において常に注意を払うところです。「病院で風邪と言われて薬をもらったが、顔が痛くなってきた」という受診パターンが、耳鼻咽喉科の開業医仲間では増えているという認識です。この訴えは急性副鼻腔炎でしょうね。

さて、その際使用する抗菌薬には特徴に合わせた有効な使用方法が理論化されています。服薬した抗菌薬は、腸で吸収され血液中に入り全身に分布し、その後肝臓で代謝されたり、腎臓から尿中に排泄されたりして作用を失います。この時、腸からの吸収が多ければ薬の作用大、ゆっくり代謝・排泄されれば作用大、などという体内の薬の量考える指標として薬物動態学(PK)があります。また、上気道粘膜、心臓、肺、消化管、髄液といった目的の感染部位に薬が作用しているか考える指標として、薬力学(PD)があります。このPK/PD理論にもとづいて抗菌薬の作用の仕組みを説明します。

PKではCmax(最高血中濃度)とAUC(血中濃度−時間曲線下面積)の2つのパラメータがあります。Cmaxとは抗菌薬を投与して急速に血中濃度が上昇するピークなので、薬の作用も最大と考えられます。薬を投与しても血中濃度が上がらなければ細菌増殖を抑制できないので、体内に薬の総量を表す指標がAUCです。AUCが高いほど多くの薬が体内に入り利用されたことを意味します。次にPDではMIC(最小発育阻止濃度)というパラメータがあります。MICは薬を投与した時に細菌の増殖を抑制できる最小濃度を指します。MICが低いほど薬の作用が強力といえますし、MICを超えていなければ効果不足と判断できます。この考えからMICを超えていること、つまりMICを超えて推移した時間がどれだけあるかをパラメータにしたのがtime above MICです。ここでもう一つ追加があります。血中濃度がMICより下がると細菌は直ちに勢いを盛り返すのでしょうか。実際にはMIC以下でも細菌増殖の抑制効果は続き、これをPAE(post antibiotic effect)と呼びます。PAEは薬により短かったり長かったりするので、なかなか薬の選択・用法は単純なものではないです。
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抗菌薬には濃度依存性と時間依存性の2種類があります。濃度依存性では一時的にでも血中濃度が高いほど抗菌作用を示すので1回投与量を増やし、その代わり投与回数を減らします。時間経過によりMIC以下になってもPAEにより 細菌増殖は抑制されているので問題ありません。時間依存性ではMICよりも高い血中濃度を維持することが大切なので、1回投与量を最小限として、その代わり投与回数を増やすのが一般的です。耳鼻咽喉科領域の感染症でよく使われるペニシリン系やセフェム系の抗生物質は時間依存性抗菌薬に属します。当然ながら勝手に投与回数を減らすことは効果を弱めるばかりか、耐性菌を出現させる恐れがあります。問題なのは集団保育の乳幼児の場合です。保育園の業務形態から、昼食後の短い時間に各園児に間違いなく服薬させるのは大変なことので各家庭での責任となります。そうすると、朝夕の1日2回処方にならざる得ず、不適切な用法になってしまいます。咳や鼻汁を抑える混合薬は、1日2回処方でも何とかなりますが、抗菌薬はそうはいきません。子供を保育園から引き取ってすぐと就眠前に服薬させる、という変則的な1日3回処方も考慮しました。しかしこれらの抗生物質は胃酸で分解されるので、食後胃酸が薄まった時でないとよろしくないです。結局しわ寄せは子供たちにいきますので、この問題は何とか解決されないものかと常々思っています。

posted by ナカバヤシジビカ at 20:51| Comment(0) | 院長日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月01日

妖怪発掘絵師のお見送り

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  昨年11月に逝去された水木しげるさんのお別れ会が東京の青山葬儀場で営まれました。所用で東京に来ていて会の事を知り、帰り道に青山に立ち寄り献花いたしました。水木さんは不気味な妖怪を通じて様々なメッセージや笑いを送り続けた稀有にして偉大な作家だったと思います。またその人柄は皆に慕われ、喪主の布枝夫人、弟子の荒俣宏さんらのご挨拶の中には別れの辛さが痛切に込められていました。寒い中待ちましたが、主催者の心温かい気遣いで、悲しくも楽しいお別れ会でした。弔問した著名人の名入りの木札が葬儀場の通路の壁を埋め尽くしていました。献花した後にスタッフが人々へ配ったカードには、鬼太郎やねずみ男と共に絶筆が記されていました。
  「好きなことをやりなさい 水木しげる」
posted by ナカバヤシジビカ at 14:52| Comment(0) | 院長日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする